人工的に爪の長さを出した爪=スカルプチュアネイル
ジェルネイルでの長さだしをジェルスカルプ(ジェルスカ)と言います。
深爪でも長さだしをするコツや、アクリルスカルプの上にジェルは塗れるのか?などをふまえて、持ちが良く強度のあるジェルネイルでスカルプチュアを作るやり方を、ネイリスト歴12年のネイル講師が解説していきます。
スカルプチュアとは?
ネイルサロンでは、分かりやすいように「長さ出ししますか?」と聞かれるところもあるかもしれません。
「長さ出し=スカルプチュアネイル」
と言うことです。
「初めてのジェルネイルする時、爪の長さはどれくらい必要ですか?」
という質問はよくあるのですが、ネイリスト側からは「そのままでいいです」というのが一般的な回答です。
それはスカルプチュアと言って、人工的に爪を作る技法があるからです。
基本的にジェルネイルは今の爪の長さの上に塗るだけです。
でも爪の長さがバラバラでも大丈夫です。
事前に、「折れた爪数本の長さ出しをして欲しい」と伝えておけば、スカルプチュアをしてくれます。
長さ出しをしない場合は、爪先ギリギリよりも、1㎜くらいは白い爪の部分(爪が伸びてるところ)があると「エッジ」と言って爪先の厚み部分にもジェルを塗ることができるので、爪先からのリフトを防ぐことができ、ジェルネイルの持ちが良いです。
自爪にジェルネイルをした爪と、スカルプ(長さ出し)にジェルネイルをした爪です。
どちらが長さ出しをした爪か、ほとんど分からないですよね?
一般的なネイルサロンのメニューには、こういうふうに全部の爪を長く作ることを「スカルプ」と表示しています。
自爪の長さに合わせて、折れてしまった短い爪を長くすることを「長さ出し」と呼んでるところが多いでしょう。
セルフネイルの初心者さんは、「長さ出し」から練習していきましょう。
長い爪ほど技術が必要なので、ロングスカルプは上級者になってからにしましょう。
スカルプとジェルの違い
スカルプチュアは人工爪に対し、ジェルネイルは主に自分の爪の長さの上にジェル状のアクリル樹脂を塗るやり方です。
なので、自爪が長いとか、短い爪が好きな方はジェルネイル。
長い爪が好きな方、自爪が弱くて直ぐに折れてしまう方はスカルプチュアが向いています。
ジェルネイルとスカルプ(アクリル)の持ちは?
ジェルネイルの持ち
ジェルネイル(自爪にジェルを塗った状態)個人差はありますが3週間〜5週間です。
深爪の方にジェルネイルをした場合、エッジにジェルを塗ることができないので、爪先から剥がれやすいです。
反り爪・深爪の方はどうしても爪先が当たりやすいのでジェルが浮きやすく2週間くらいで剥がれやすい人もいらしゃいます。
ジェルスカルプとアクリリックスカルプチュアの持ち
ジェルスカルプもジェルネイル(自爪にジェルを塗った状態)と同じくらいの3週間〜5週間です。
アクリルのスカルプチュアは2週間〜3週間。
アクリルのスカルプチュアをする場合は、「プライマー」と言って、自爪の表面を少し溶かしてそこにアクリルを密着させるものを使います。
頻繁に付け替えしてると、それが爪を傷ませる可能性がありますし、爪が極端に弱い方は向いていません。
また、10代のオイリーな爪だったり、普段長風呂される方は爪の水分量が多かったりしますので早く取れやすい傾向はあります。
ジェルスカルプの長さ出しのやり方
では、ジェルネイルで長さ出しをしてみましょう。
手順は7つのステップがあります。
※フリーエッジが5㎜以内の短めの長さ出しのやり方です。
①プレパレーション
プレパレーションとは、甘皮処理や爪の表面を整えたり、形を作ることを言います。
ジェルネイルを塗る前の下準備のことです。
②フォームを付ける
爪に長さ出しをするための台紙を付けて、その上にジェルを置いて人工的に長さを作ります。
その台紙のことをフォームと言います。
フォームの付け方にもコツがいるので別記事で解説しています。
③ジェルを塗る
爪の表面を消毒して、いよいよジェルを塗っていきます。
その前に、フォームの羽根を写真のように折っておくと、ライトに入れやすいので是非やってください。
まず、自爪だけにベースジェルを塗ります。
この時にエッジ(爪の厚み)にも塗りましょう。
専用ライトで硬化します。
(LED20秒・UV60秒)※メーカーによって異なります
クリアジェルを、爪とフォームの間にたっぷり置きます。
筆の角を使って両方のストレスポイントまでクリアジェルを誘導します。
ストレスポイントとは、皮膚から離れている端っこの部分です。
このポイントが一番負荷がかかりやすい場所なので、しっかりジェルで覆いましょう。
ジェルから筆を離さないように動かすのがポイントです。
クリアジェルの量は、爪とフォームの間に凹んだ段差ができない程度です。
専用ライトで硬化します。
(LED20秒・UV60秒)※メーカーによって異なります
ライトに入れた時に熱く感じる
※ジェルネイルは、ライトの光とアクリル樹脂が化学反応を起こして固まります。
この時に化学反応熱が発生し、熱く感じる場合があります(硬化熱と言います)。
そうしたら一度ライトから手を出して、熱が治ったら再びライトに入れます。
一度硬化熱が発生したら、再度ライトに入れても一度科学反応を起こしてるので化学反応熱は出ません。
筆に多めのクリアジェルを取って、爪の中心あたりに置きます。
ふわっと爪全体に馴染ませます。
④ハイポイントを作る
横から様子を見て、足りないところにジェルを足します。
足したらそのまま筆を、高さの欲しい場所で離すようにします。
爪とフォームの間が凹みやすいので注意しましょう。
特にフォーム側がジェルが足りない場合が多いので丁寧に足しましょう。
反対側からも見て、凹んでる部分がないか確かめましょう。
「ちょっと多いかな、盛りすぎたかな?」くらいでちょうど良いです。
このまま表面張力で馴染むのを待ちましょう。
綺麗に馴染んだら専用ライトで硬化します。
(LED20秒・UV60秒)※メーカーによって異なります
⑤スカルプのストレスポイントが折れないようにピンチを入れる
ストレスポイントあたりを内側に爪で押してピンチングをします。
先ほど塗ったクリアジェルの厚み分を内側に押し込むことで、その厚みを保ったまま爪の形を整えることができるので、強度のあるスカルプができます。
ある程度ピンチを入れたら、ジェルはもう固まっているのでフォームを外します。
ストレスポイントに爪を差し込んでさらにピンチを入れます。
スカルプのストレスポイントが折れる方は、このピンチが上手く入っていないのです。
そうすると、このようにCカーブが綺麗に入ります。
平たい爪よりもカーブが入った爪のほうが、強度が増します。
ピンチを入れたらもう1度、そのまま専用ライトに入れて硬化します。
(LED20秒・UV60秒)※メーカーによって異なります
⑥ネイルの形を綺麗に削る
ジェルクレンザーで未硬化ジェルを拭き取ります。
爪先の形を整えます。
サイドをまっすぐに整えます。
サイドから爪先の方につなげます。
厚みのあるしっかりとした爪ヤスリ(ファイル)に持ち変えて、爪を真上から見た時に、爪全体の幅が同じくらいになるようにまっすぐに整えます。
ピンチを入れたのは、この時にまっすぐ削るので、一番負荷のかかるストレスポイントにジェルの厚みを残す為です。
ピンチを入れてなければ、ストレスポイントが薄くなってしまい、すぐに折れてしまう強度のないスカルプになってしまいます。
横から見て、綺麗なアーチ状になるように削ります。
爪ヤスリを縦に動かして縦のラインをつなげ、凹んでいる部分がないように削ります。
ジェルのツヤが残っている場所があれば、そこに「ヤスリが当たっていない」ということなので、「凹んでいる」と言う事です。
綺麗に全体がつながっていれば、写真のようにツヤが残ったところが無くなります。
⑦トップジェルでツヤツヤに仕上げる
ジェルクレンザーで爪を消毒しながら、削った粉を綺麗に取り除きます。
ジェルクレンザーが乾くのを待ちます。
乾いたらトップジェルを塗ります。
光沢がまっすぐに入るくらいの量を塗ります。
サイドからみても、綺麗にまっすぐな光の筋が入ります。
これはヤスリを縦に動かして、縦のラインを綺麗につなげた証拠です。
専用ライトで硬化します。
(LED20秒・UV60秒)※メーカーによって異なります
未硬化ジェルを拭き取って、キューティクルオイルで保湿したら完成です。
キューティクルオイルを塗る事で、ジェルと爪の間に油膜を作り、水の侵入を防ぐことができますから持ちが良くなります。
ジェルネイルで長さだしをチップでやる方法
チップオーバーレイのやり方
「チップオーバーレイ」という爪先にチップを付けて、その上にジェルやアクリルなどで補強する方法があります。
ただし、深爪や反り爪の方はなかなかチップが合わない場合があります。
ネイルフォームなしでやりたい方にお勧めです。
ポリジェルのやり方
「ポリジェル」と言って、アマゾンや楽天で人気の長さ出し用のジェルがあります。
爪の大きさにチップを合わせて、そのチップの裏側にジェルを塗って爪に乗せます。
そのままライトで固めて削るだけという簡単なステップで長さ出しができます。
持ちを気にせず手早く長さ出しをしたい人には向いてると思います。
ジェルスカルプは深爪でも長さだしできる?
ジェルスカルプでも、深爪の方にできなくはないですが、難しいです。
しっかりフォームを装着できれば深爪の方にもジェルスカルプは可能です。
ただ皮膚に押し戻されて広がった爪の形になりやすいので、アクリルでのスカルプを作る方がやりやすいです。
ピンチを入れた時にホールド力があるので、サイドの形をまっすぐに整えやすいのです。
アクリルスカルプの上にジェルを塗っても大丈夫?
アクリルのスカルプチュアの上にジェルネイルを塗っても大丈夫なのか?気になる方も多いと思います。
ジェルネイルは、アクリル樹脂なので同じアクリルで相性は良いのです。
アクリルのスカルプチュアを作ってファイルで形を整えたら、ジェルを塗る前にネイルクレンザーで消毒をします。
ネイルクレンザーが乾いてからジェルを塗るようにしましょう。
ジェルネイルで長さだし『深爪』のやり方とコツ
アクリルでフリーエッジから爪の3分の2まで作り、形をファイルで整えた後にジェルでアートしたり最終的にジェルでコーティングするというやり方です。
フォームの選び方ですが、羽根が大きいほうがしっかり皮膚を巻き込んでくれ、安定します。
深爪の方は、皮膚が盛り上がってるので、しっかりした硬さのあるフォームを使ったほうが、皮膚の張りに負けません。
盛り上がった皮膚が邪魔してチップはつかない場合があるので、チップオーバーレイのやり方は合わないと思います。
皮膚の押し戻しに負けないアクリルでフリーエッジを作るのがおすすめです。
しかし、ジェルのほうがアクリルよりも密着が良く持ちがいいので、アクリルで長さ出しをしてジェルでコーティングするのが最もオススメなやり方です。
しっかりとピンチを入れたスカルプチュアは爪がまっすぐ伸びたような綺麗な形に仕上がります。
ジェルで自爪が長く見えるバーチャルネイル
自爪を長く見せるなら「バーチャルネイル」が良いです。
バーチャルネイルとは、ネイルベットを長く見せるために、イエローラインを見えないようにし、自然な爪の色っぽいピンクを長めに塗って作るネイルのことです。
ネイルベットとは、皮膚がくっついてる爪のピンク色の部分のことです。
アクリルスカルプチュアなら、バーチャルピンクというピンク色のパウダーを使ってネイルベットに似せてフリーエッジを作り、その先に人工的にフリーエッジを作ります。
ジェルスカルプなら、あらかじめスカルプを作ってから、薄いピンクのカラージェルでイエローラインを隠して、フリーエッジに別の色を塗ります。
長さ出しをしてから、ネイルベットに似せて上から色を付ける方法です。
長さだしできるジェルとは?
スカルプには、仕上がりが固いジェルが強度があるので、長さ出し用のジェルを使います。
「ベースジェル」は自爪との密着を良くする為に使うので、透明のジェルですが用途が違います。
「トップジェル」も、ツヤを出す為に使うものなので用途が違います。
スカルプティングジェルとか、クリアジェルとか、プロテクトジェルなどメーカーでさまざまな名前があるので、ベースジェル・トップジェル以外のクリアジェルで探すのが早いです。
まとめ
ジェルでの長さ出しのポイント6つ
・ジェルをストレスポイントまでしっかり誘導する
・あまりジェルをいじらないで、垂らすようにジェルを足す
・高く盛りたいところで筆を離す
・ピンチを入れたらもう一度硬化する
・真上から見て爪がまっすぐ伸びてるように削る
・爪ヤスリ(ファイル)を満遍なくかける
人工的に爪の長さ出しをすることを「スカルプチュア」と言います。
スカルプチュアには
・ジェル状のアクリル樹脂を使ったジェルスカ
・アクリルパウダーとアクリルリキッドでミクスチャーを作って形を作るアクリリックスカルプチュア
があります。しかし、この2種類を合わせた、アクリルでの長さ出しにジェルでコーティングするやり方もあり、深爪の人にオススメのやり方です。
また、フォームを使わない人工爪もあります。
爪のタイプに合わせて使い分けましょう。