ビタミンAは発育を促進したり、感染などへの抵抗力をつけたり、粘膜を潤わせる役割をする、とっても大切な栄養素です。
『粘膜』ということは、受精卵が着床する子宮内膜を作る栄養素でもあるのです。
ビタミンAは、妊娠を望む方は積極的に摂ったほうが良い栄養素ですが、妊娠したら摂りすぎに注意しなければいけません。
胎盤を通過しやすいため、異常摂取は胎児の形態異常を起こす可能性が高くなります。
ちなみにビタミンAと一括りにしがちですが、2通りあります。
・ビタミンAそのものを含む食品(動物性)
・体内で変換されるカロテンを多く含む食品(緑黄色野菜)
では、ビタミンAはどのような食品に多く含まれるかみていきましょう。
ビタミンAを多く含む食品TOP10とその量(根拠のデータ元も)
1位、鶏レバー
動物性で1番多い食品は「鶏レバー」です。
ビタミンAは必ずしも熱に弱い食品ではありませんが、種類によっては加熱すると成分が減少するので注意が必要です。
ちなみにレバーは生の場合のデータです。
2位、豚レバー
2番目に多い食品は「豚レバー」で、これは鶏とほぼ含有量は変わりません。
一方、「牛レバー」は6番目で上位の二種類とは大きな差があります。
3位、八目鰻
3位は「やつめうなぎ」が多いとされます。
やつめうなぎとは、吸血魚として知られる、うなぎに似た生物ですが、うなぎの種類には入りません。
4位、ホタルイカ
4位は「ほたるいか」で、この場合は茹でても含有量は変わりません。
5位、うなぎの蒲焼き
5位が「うなぎの蒲焼」一般的に食べられる鰻です。
6位、7位、牛レバー・銀鱈
6位、7位は1位のところでも紹介した「牛レバー」と「ぎんだら」です。
8位、人参
8番目に、ようやく野菜の「にんじん」が入ります。
9位、穴子
9位は「あなご」で、うなぎに似てますが、安価で食べられるのが魅力ですね。
10位、ほうれん草
10位は緑黄色野菜の「ほうれんそう」です。
このデータは内閣府で発表されたものですから信憑性が高いでしょう。
その他に「しゅんぎく」や「かぼちゃ」も多く含みます。
ビタミンAと合わせて摂ると吸収のよい栄養素とは?
ビタミンは『水溶性』と『脂溶性』に分類され、ビタミンAは脂溶性に該当します。
『水溶性』の場合は…(ビタミンB・C)
過剰に摂取しても、尿などで体外へ排泄されます。
加熱に十分配慮する必要があります。
茹でる調理法は水溶性には不向きです。
一方電子レンジや油を使って炒める方法ならば問題ありません。
『脂溶性』の場合は…(ビタミンA)
多く摂り過ぎると、肝臓に蓄積されます。
熱にも水にも比較的強いビタミンです。
茹でたり炒めたりしても大丈夫です。
脂溶性とは脂に溶け易い性質をいいますから、油脂を多く含んだ食品と、一緒に摂取すると、ビタミンAの吸収が促進されます。
なので、オリーブオイルやバターを使って炒めたり、牛バラ肉などと合わせて食べると良いでしょう。
脂質が多い食品には、肉類(部位により差異があります)や乳製品、卵、さんま、マグロのトロ、揚げ物などもあります。
ビタミンAは、体に必要な栄養素ではありますが、過剰に摂取すると害を及ぼすので注意しましょう。
症状としては、腹痛、めまい、嘔吐などに加え、皮膚の障害があります。
慢性的になると、関節の痛み、骨粗しょう症を引き起こす原因にもなりますから、適切な量を理解しながら摂りましょう。
ビタミンAの摂取基準
一日に必要な量は年齢や性別により指針が示されています。
成人女性は、700mcg(マイクロミリグラム)を目安にしましょう。
また、摂取量の上限は3000mcg(マイクロミリグラム)となっております。
年齢 | 男性 | 女性 | 妊娠 | 泌乳 |
---|---|---|---|---|
0-6ヶ月* | 400 mcg RAE | 400 mcg RAE | ||
7-12ヶ月* | 500 mcg RAE | 500 mcg RAE | ||
1-3年 | 300 mcg RAE | 300 mcg RAE | ||
4-8歳 | 400 mcg RAE | 400 mcg RAE | ||
9〜13歳 | RAE 600 mcg | RAE 600 mcg | ||
14〜18歳 | RAE 900 mcg | RAE 700 mcg | RAE 750 mcg | 1,200 mcg RAE |
19〜50年 | RAE 900 mcg | RAE 700 mcg | 770 mcg RAE | 1,300 mcg RAE |
51歳以上 | RAE 900 mcg | RAE 700 mcg |
厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業「統合医療」情報発信サイトより
食品のビタミンA含有量はこちらを目安にしてください。
・にんじん、生の1/2カップ
459mcg
・ほうれんそう、冷凍、ゆで、½カップ
573mcg
・カボチャパイ、市販品、1個
488mcg
・ブロッコリー、ゆで½カップ
60mcg
よほど同じ栄養素のものを過剰に食べない限り、上限の3000mcgを超えることは、ないかもしれませんが、一応目安として知っておいた方が良いでしょう。
ビタミンAの最適な調理法や食べ方とその理由
食品ごとの栄養を考えるときには、調理法への関心は不可欠です。
というのも、栄養素には熱を加えると消失してしまう種類があるからです。
ビタミンには水溶性と脂溶性とがありますが、ビタミンAは脂溶性なので、油を使った調理法は、ビタミンAの吸収を促進します。
油を含んだドレッシングを生野菜にかけて食べたり、天ぷらやフライにするのも良いでしょう。
天ぷらには、春菊、かぼちゃ、人参などがオススメです。
かぼちゃのグラタンなども油を程よく使う料理ですね。
ビタミンAを使った代表的なメニュー3つをご紹介
ビタミンAを一番多く含む鶏レバーを使ったメニューで、鶏レバーのオリーブオイル炒めです。
油との相性がいいので、ガーリックや野菜と一緒に炒めると美味しいです。
ビタミンAの吸収を促進する「油」を使った料理ですし、比較的簡単に作ることができます。
「うなぎの蒲焼」も市販の食品を買ってくれば、ご飯に合わせて簡単に楽しめます。
熱に強い脂溶性ビタミンだから市販のものでも十分に摂ることができるでしょう。
「あなご」は寿司など「うなぎ」に似た調理法に最適です。
6・7位にランクインした銀ダラ
「ぎんだらの西京焼」もビタミンAを意識した料理としてピッタリです。
焼き加減や、西京味噌を準備するなど、下拵えに若干の手間は必要ですが、その他の面ではシンプルで、しかも美味しい料理です。
焼いた銀鱈をパスタに乗せ、オリーブオイルをかければ、油も同時に摂れ、簡単にパスタとして1品できます。
ビタミンAは、熱にも水にも強いので、比較的調理しやすいですね。