ジェルネイルの「トップジェル・ノンワイプジェル」の違いは?
ジェルネイルの仕上げに、ツヤを出す役割のトップジェルには『ノンワイプトップジェル』と『拭き取りが必要なトップジェル』の2種類があります。
結果的に、この2つには未硬化ジェルがあるかないかです。
それぞれの特徴と、メリット、デメリットを解説します。
また、その2種類のトップジェルをプロはどんな時に使い分けるのかを、ネイリスト歴12年のネイル講師が解説していきます。
トップジェル2種類の特徴(メリット・デメリット)
最近では、あえてツヤを出さない(マットな仕上がり)タイプの「マットトップジェル」もありますが、ここではツヤを出すトップジェルのお話しをします。
ジェルネイルの仕上げに、ツヤを出す役割のトップジェルには「未硬化ジェルふき取りタイプ」と、未硬化ジェルが出ない拭き取り不要の「ノンワイプ」の2種類があります。
その2種類の特徴とメリット・デメリットをご紹介します。
※トップジェルをジェルトップコートと表示しているメーカーもあります。
「拭き取りタイプ」のトップジェルの特徴・メリット・デメリット
・ジェルネイルの未硬化ジェルを最後に拭き取るタイプのトップジェルです。
ほとんどがこのタイプです。
拭き取りタイプの特徴
空気に触れている面に、「ジェルが固まらない層」ができます。
なので、ジェル専用ライトを当てて硬化しても表面がベタベタしています。
このベタベタした層を最後にネイルクレンザーで拭いて仕上げます。
拭き取りタイプのメリット
・検定試験では「拭き取りタイプ」を想定しての検定内容になっているので、普段から使い慣れている。
・塗る量がある程度必要なので、アートを埋め込むと同時に艶出しができる。
・ノンワイプタイプより強度がある。
・拭き取りをする前であれば、アートの追加がしやすい。
・ほとんどの容器がジャータイプなので、使い慣れた筆で塗ることができる。
拭き取りタイプのデメリット
・ジェルネイルの拭き取り用のコットンやクリーナー(クレンザー)が必要なので、そのコストがかかる。
・拭き取りで失敗するとツヤがでない(曇ったり)ことが時々ある。
・拭き取り用のクレンザーが、指の油分まで取ってしまうので、肌が弱い人はかぶれる事がある。
「ノンワイプ」トップジェルの特徴・メリット・デメリット
・ジェルネイルの未硬化ジェルが出ない、拭き取り不要のトップジェルです。
要は、「ノン・ワイプ」=ワイプ(拭き取り)しない、ジェルネイルの「トップ」=一番上に塗るジェルという意味です。
ワイプレス(拭き取り不要)ジェルとも言います。
ボトルに刷毛が付いてるタイプです。
ノンワイプトップジェルの特徴
普通の拭き取りタイプのトップジェルのように、空気に触れている面に「ジェルが固まらない層」がない。
なので、わざわざ最後にネイルクレンザーで拭き取る必要がありません。
ノンワイプトップジェルのメリット
・拭き取る時間がいらないので、時間短縮ができる。
・ツヤがでないというアクシデントが少ない。
・ジェルクレンザーや拭き取りようのコットンなどのコストの節約になる。
・薄付きなので厚みを出したくない時に良い。
ノンワイプトップジェルのデメリット
・テクスチャーがサラサラしているの場合が多いので塗るときに爪のサイドに流れやすい。
・薄付きなので強度がない(割れやすい)。
・専用ライトで硬化する時に、かなり熱い硬化熱が発生しやすい。
・保管中でも容器の中で硬化してしまうことがある。
そもそも普通のトップジェルは、なぜ「未硬化ジェル」が発生するのか?
「拭き取りがいらないなら、めんどくさくないし全部ノンワイプジェルでいいんじゃないの?」
「なんでわざわざ2種類あるの?」
って思いますよね?
ここでまず、『未硬化ジェル』の必要性について理解しなければいけません。
そして、その前に知っておかなけでばいけないのが、『ジェルの定着定義』=ジェルが定着する為の条件です。
未硬化ジェルの必要性と、ジェルが爪に定着する理由を解説します。
ジェルネイルの最後の作業「ぬめり取り」とは?一体何を拭き取ってるの?
ジェルネイルをする際に、一番最後に塗るトップジェル(トップコート)を硬化した後に、 拭き取り作業をします。
爪表面にヌルヌルするジェルの層が残るので、コレをジェルクレンザーなどで拭き取り、ツルツルした表面に仕上げます。
これを『未硬化ジェルの拭き取り』と言います。
ジェル専用ライトで硬化しても空気に触れてる表面部分が固まらない性質があり、ぬるぬるした層が残ってしまいます。
その残ってしまったジェルのことを未硬化ジェルと言い、最後に拭き取る「ぬめり」の正体はこれなのです。
これを拭き取らないでいると、埃などがジェルネイル表面に付き、紫外線などでその埃が付いたまま固まって、取れなくなってしまいます。
なので、綺麗に拭き取る必要があるのです。
なぜジェルネイルは爪に定着するのか?ジェルが1ヶ月も爪にくっついている理由を解説
ジェルネイルの素材は『アクリル』なので、マニキュアと違って強度があり、3週間〜1ヶ月半くらい長持ちします。
ジェルネイルとは、水飴みたいな『とろ〜』としたアクリル樹脂を爪の上に塗って、専用のライト(UV/LED)で固めてできたものです。
ジェルには、『光重合開始剤』と言うものが含まれていて、専用の光を当てることによって硬化します。
※硬化とは、柔らかい物質が化学的な作用によって硬くなっていくことを言います。
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〈ジェルの定着定義〉
1、油分・水分が除去されている爪の上
2、サンディング(爪に光沢がなくマットな状態)した上
3、未硬化ジェルの上
この条件に当てはまらなければ、ジェルが爪に定着せず、すぐに取れてしまいます。
1と2は、自爪にベースジェルを塗る前に、条件を満たしています。
要は、油分水分がなく、ザラザラしたものに定着するということです。
ザラザラしたものは、表面が細かく凸凹しています。
その隙間にジェルが入り込み、そのまま光で固めることで、爪と一緒にくっついたまま動かないので、マニキュアみたいにすぐ取れないのです。
ジェルネイルの「未硬化ジェル」の必要性
先ほどのジェルの定着定義1、2にあるように、ジェルは油分水分がなく、ザラザラしたものに定着するということでした。
しかし、ベースジェルを塗った後のツルツルした表面に、カラージェルなどの他のジェルを定着させるためには、定着定義3の未硬化ジェルの上に塗らないと定着しないのです。
アートの途中で未硬化ジェルを拭かなければいけない場合(アートによってはそんな時もあります)でも、未硬化ジェルを拭いた後にジェル自体にツヤがなければ「2のマットな状態の上」という事で、定着条件にあっているので、次に塗ったジェルが定着します。
つまり、『未硬化ジェル』がないと、その上に塗ったジェルが剥がれやすいのです。
未硬化ジェルを拭き取る「ジェルネイルクレンザー」とは何?
未硬化ジェルは、コットンやワイプにしみ込ませたジェルネイル専用の溶剤で拭き取ります。
主成分はエタノールで、揮発性が高く引火しやすいので換気に気をつけましょう。
ジェルネイルクレンザーは、ジェルネイルを塗る前に爪を消毒する時にも使いますが、未硬化ジェルの拭き取りにも同じものを使いますです。
※メーカーによっては分けているところもあります。
同じエタノールだからと言っても、消毒用エタノールは、エタノールを精製水で薄めたものなので、エタノール度数が低くジェルの拭き取りが不十分なため、未硬化ジェルを拭き取った時に曇ってしまうことがあります。
ジェル専用のクレンザーやクリーナーを使うことで、完全に未硬化ジェルを除去することができ、ツヤツヤのジェルネイルに仕上がります。
また、メーカーによって名前が違います。
・ネイルクレンザー
・ジェルクレンザー
・ジェルクリーナー
・ネイルプレップ
名前が違うので混乱すると思いますが、「未硬化ジェルを拭き取るために使う」という明記があるかどうか確かめてから使いましょう。
また、エタノール度数が高いので、ジェルクリーナーには手が荒れないように保湿成分が入っています。
ジェルネイルのノンワイプトップジェルには、なぜ未硬化ジェルがないの?
未硬化ジェルが残るのは、ラジカル反応と呼ばれる化学反応で、ラジカルは酸素と反応してしまうと、そこから反応が進まなくなってしまいます。
つまり空気に触れている表面の層は、ラジカル反応が進行しないので未硬化(固まらない)ジェルとして残ってしまいます。
未硬化ジェルの出ないノンワイプトップジェルは、酸素との反応よりも速く硬化させたり、空気と反応しにくい成分を入れたりしてできたものです。
「化粧品研究者が教えるジェルネイルの真実」で詳しく説明されています。
拭き取りタイプのものよりも硬化が速いので、急激に化学反応が起こり硬化熱も高くなってしまいます。
なのでノンワイプトップジェルは、厚めに塗ってしまうと火傷しそうな熱さを感じることがあるのです。
硬化熱対策として、UVライトに少し当てて緩やかに反応させて仮硬化させた後に、LEDライトでしっかり完全硬化させてるところもあるようです。
必然的に薄く塗るので、衝撃に弱くジェルにヒビが入ったりしてあまり強度はありません。
また、酸素と反応しにくい成分に硫黄が入っているので、匂いがきつく、人によっては気分が悪くなることがあると思います。
「拭き取りタイプ」と「ノンワイプトップジェル」を使うのに適したそれぞれのタイミング
「拭き取りタイプ」と「ノンワイプトップジェル」それぞれのメリットデメリットは理解できたけど、それぞれ使うのに適したタイミングはいつなの?という疑問が出てくると思います。
それぞれトップジェルの使い分けを解説していきます。
「未硬化ジェルが出る」トップジェルを使うタイミングとは?
ラメと混ぜてラメカラーを作ったり、カラージェルと混ぜてオリジナルカラーを作ったり、パーツを埋め込んだり…いろんな場面で使用します。
最終的にツヤだけを出したい時は、ノンワイプトップジェルでいいと思いますが、アートの埋め込みや厚み調整をしたい場合は、拭き取りタイプがおすすめです。
もし厚みが足りなかった場合、未硬化ジェルが残っているのでジェルの定着定義に当てはまり、そのまま上からジェルを塗り足せるので普通の「ジェルふき取りタイプ」のトップジェルを使った方が便利なのです。
「ノンワイプジェル」はどんな時に使うと便利?
ノンワイプトップジェルは、ボトルタイプなので刷毛が付いています。
わざわざ筆を用意しなくていいので、手軽に塗ることができます。
でももし、ボトルに付いてる刷毛で塗りにくければ、ペーパーパレットに出して、使い慣れた筆で塗っても良いです。
厚みがいらない場合や、チップでサンプルを作った時の仕上げに使うと便利です。
拭き取りタイプのトップジェルを使うと、写真みたいに拭き取りの時にネイルクレンザーがチップの裏側に付いて、チップが割れたり白くなったりします。
ノンワイプトップジェルは、拭き取りがないわけですから、その恐れがありません。
未硬化ジェルがあるとつかないネイルシールを使う時や、ミラーネイルは未硬化ジェルがあると光沢が出ませんから、そういう時に使います。
未硬化ジェルの拭き取り後、時々ツヤがでない(曇ってしまう)理由と改善策
拭き取りタイプのトップジェルのデメリットの一つ、「時々、ツヤがでないという失敗がある」その理由と改善策を解説します。
使っているジェルと同じメーカーの拭き取り専用の溶剤を使いましょう
ジェルネイルの最後の拭き取りを除光液やエタノールを使用していませんか?
未硬化ジェルの拭き取りは、除光液やエタノールでもある程度はできるのですが、完全に綺麗に取れるわけではありません。
メーカーによっては不十分な為、その時に曇ってしまいます。
拭き取り専用の溶剤をジェルクリーナーとも言いますが、おすすめは、使っているジェルメーカーのジェルクリーナーまたはジェルクレンザーを使うようにしましょう。
コットンやワイプの綺麗な面で拭き取りましょう
未硬化ジェルがついたコットンやワイプで拭き取っていませんか?
一度拭き取った面には未硬化ジェルが付いています。
同じ面でまた拭き取ると、その未硬化ジェルを付けてしまうことになり、それが曇ってしまう原因になります。
新しいコットンか、同じコットンでも綺麗な面で拭き取るようにしましょう。
優しく拭き取りましょう
コットンで拭き取る圧が強すぎていませんか?
硬化したてのジェルネイルは、要は生まれたての赤ちゃんみたいな柔らかく定着がまだ不安定な状態です。
なので、強く擦ってしまうと傷が付きやすいのです。
たっぷりのジェルクレンザーで優しく拭き取るとツヤツヤのジェルネイルになります。
100均セリアのジェルネイルの未硬化ジェルの拭き取りは何を使うの?
今はプチプラのジェルが数多く出ています。
100均でもジェルネイルは買えます。
人気のセリアのジェルネイルですが、ちゃんとパッケージとボトルのラベルにジェルネイルのやり方が書いてあります。
しかし未硬化ジェルの拭き取りについては何も書いてありません。
調べたところ、未硬化ジェルの拭き取りの行程は記載せれていませんが、未硬化ジェルがでるようで、拭き取りが必要です。
しかし、セリアのジェルネイルラインナップにはジェルクリーナー(クレンザー)はなさそうです。
他のメーカーのジェルクリーナー(クレンザー)を使うか、ノンアセトンのリムーバー(除光液)で代用できますので、使ってみるといいかもしれませんが、前途でも言いましたがジェルによっては曇る場合もあります。
「ノンワイプトップジェル」と「未硬化ジェル拭き取りジェル」の違いまとめ
いかがでしたか?
2種類のトップジェルを簡単にまとめると。。。
未硬化ジェルを拭き取るトップジェル
・表面にジェルが固まらない層ができる(未硬化ジェル)トップジェルのこと。
・他のジェルとの接着剤の役割があるため、最後に塗るか、もう一層重ねるか迷う場合は、このタイプが良い。
・カラージェルやラメと混ぜてオリジナルカラーを作るのにも使うため、拭き取りが面倒でなければ、このトップジェルだけ持っていればいいのでコストは良い。
ノンワイプトップジェル
・表面にジェルが固まらない層(未硬化ジェル)がないタイプのトップジェルのこと。
・未硬化ジェルが出ないので、このノンワイプトップジェルの上にジェルを重ねても定着しない。
・なので、最終的にツヤを出すためだけに塗るなら、拭き取る手間がなく便利。
・見本チップに使うとチップが白くならず綺麗に仕上がる。
もしどちらかに絞るなら、未硬化ジェルが出るタイプのトップジェルをオススメしますが、アートを楽しみたい!という方は、ノンワイプトップジェルも持っていると便利ですよ。